抄録
【緒言】
本研究の目的は、新型コロナウイルス感染症拡大下における高齢者の社会活動の実態を明らかにすることである。
【対象と方法】
対象者は京都市の通所型サービスを利用する75歳以上の後期高齢者12名である。外出自粛の影響によって変化した社会活動について問い、その特徴を質的帰納的に分析した。
【結果】
困難な社会活動には「家族との関わり」、「知人との対面交流」、 「ボランティア活動」の3つのカテゴリーがあった。しかし、その一方で、取り組めた社会活動には「家族のための活動」、 「継続的な知人との交流」、「限定的なボランティア活動」の3つのカテゴリーがあり、工夫を凝らして取り組みを続けた、 あるいは新しく始めた経験が伺えた。また、社会活動を実施できた要因としては「興味関心の有無」、「過去の経験の有無」、 「人的環境の有無」、「物的環境の有無」の4つのカテゴリーが抽出された。
【結語】
パンデミックの際、高齢者の社会活動の維持および促進のために、高齢者自身の内的要因(興味関心、過去の経験)の把握と、高齢者を取り巻く外的要因(人的環境、物的環境)を調整する重要性が示唆された。