抄録
本稿では,新学術領域「計算解剖学」における,筆者らの研究「計算解剖モデルに基づく診断・治療の融合的支援」の概要を紹介する.とくに,「融合的支援システム」の定義を示し,「ナビゲーション型診断治療融合的支援システム」について解説する.融合的支援システムとは,診断から治療までの各段階をシステムを切り替えることなくつなぎ目なしに支援できるシステムを意味し,治療中(手術中)に病変自動検出などの診断支援処理や治療計画再作成を行う,診断中に治療計画の作成を行うなど,診断,治療計画策定,治療等の支援機能を一体的に利用できるシステムのことである.さらに,本稿では,癒合的支援システムに向けた筆者らの研究の取り組みの紹介として,血管名自動対応づけ手法,ボリュームレンダリング画像上における血管名表示法などを示す.