Medical Imaging Technology
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29 巻, 3 号
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特集/文部科学省新学術領域 「医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化」
  • 森 健策
    2011 年 29 巻 3 号 p. 97-98
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
  • 小畑 秀文
    2011 年 29 巻 3 号 p. 99-103
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    本稿は,文部科学省科学研究費補助金新学術領域の支援による研究プロジェクト“計算解剖学”の目指すところについて述べたものである.本学術領域では,新たな学問体系としての「計算解剖学」の創成を目指す.技術的な挑戦としては,(1)個体差がきわめて大きい解剖構造を統計数理的に記述できる計算解剖モデルの表現方法や,膨大な個体数の画像データからモデルを構築する方法の開発,(2)そのモデルに基づき,人体を解剖したときに得られる情報と等価な人体構造情報を医用画像から頑健かつ精密に得られるようにする手法の開発,(3)その技術に基づき診断や治療を高度に支援できる応用技術の開発,がある.これにより,医学の高度化,基礎医学研究・教育などへの貢献,さらには情報学にも多大な寄与が期待できる.本稿ではその研究組織体制についても述べている.
  • 増谷 佳孝, 本谷 秀堅, 井宮 淳
    2011 年 29 巻 3 号 p. 104-110
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    新しい学問分野である「計算解剖学」の目的の一つとして,「計算解剖モデル」の構築があげられる.計算解剖モデルは,臓器形状および構造などの解剖学的知識の計算機内表現であり,患者個人差などの統計量も含む.またCT画像など,患者の実データとの空間/時間写像を求めることで計算機による医用画像理解を実現するために使用される.すなわち,計算解剖モデルにかかわる主要な問題は,「解剖学的知識を計算機内にいかに表現するか」,「計算解剖モデルと実(患者)データとの空間/時間写像をいかに決定するか」という数理的諸問題であるといえる.本稿では,解剖学的知識の最小単位であるランドマークを含めた臓器形状表現とその画像特徴との関連,点群のグラフィカルモデルによる画像とモデル間レジストレーション,および人体空間正規化を目的とした変分に基づく形状の平均などについて,関連研究やわれわれがこれまでに得た研究成果について概略を述べる.
  • 佐藤 嘉伸
    2011 年 29 巻 3 号 p. 111-115
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    文科省・新学術研究領域「計算解剖学」プロジェクトにおいて進めている計算解剖学の基盤技術について述べる.広義の計算解剖学は,症例データベースを統計解析することにより得られる数理モデル(計算解剖モデル,あるいは,統計アトラス)を用いて,多次元医用画像の理解,統計的根拠に基づく診断・治療支援の最適化を目指す分野である.本稿では,この具体例として,複数の解剖構造を対象とした構造化統計アトラス,および手術症例統計アトラスの構築と利用について,われわれの現在の取り組みと将来展望について述べる.
  • 藤田 広志, 原 武史, 周 向栄, 林 達郎, 神谷 直希, 張 学軍, 陳 華岳, 星 博昭
    2011 年 29 巻 3 号 p. 116-122
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    本稿では,現在進行中の文部科学省科学研究費補助金新学術領域「医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化」において,われわれが担当している課題「計算解剖モデルの構築」の研究内容の目的や概要,ならびにその成果の一部を紹介する.本研究では,計算解剖モデルの構築と応用に着目して,CT画像やPET画像における人体の解剖学的構造の自動認識と分析を目指している.本稿では,具体的には,体幹部CT画像からの汎用的臓器の位置検出法の提案,形状モデルに基づく腹部筋肉の自動抽出法の開発,椎体の位置検出法の提案,およびFDG-PET画像における正常体幹部のSUV分布モデルの構築について簡単に紹介する.大規模な画像データベースを用いた実験の結果から,提案したこれらの手法の有効性が示されている.
  • 仁木 登, 河田 佳樹, 鈴木 秀宣
    2011 年 29 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    本稿は,新学術領域「医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化」の研究班(A02-1班)として進めている「計算解剖モデルに基づく診断支援」の研究概要を紹介する.本研究は,計算解剖モデルを応用したコンピュータ支援診断システムの研究開発を行う.計算解剖モデルの基礎研究を行う研究班(A01班)と臨床展開を担う研究班(A03班)の研究成果を相互にフィードバックし,領域内研究の有機的な結合により計算解剖学の学理構築を図る.このため本研究では,CT,MRI,PET/CTのマルチモダリティ画像情報による体幹部の形態・機能情報の計算解剖モデルを利用して胸腹部の主要疾患(がん(肺がん,胃がん,肝がん,大腸がん),慢性閉塞性肺疾患(COPD),心血管・リンパ節疾患,骨粗鬆症)を対象にした存在診断・鑑別診断を支援するコンピュータ支援診断システムを研究開発する.十分な臨床評価によって実証し,医師の診断能の飛躍的な向上を可能にする診断支援技術として臨床現場で活用されることを目指す.
  • 森 健策
    2011 年 29 巻 3 号 p. 129-133
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    本稿では,新学術領域「計算解剖学」における,筆者らの研究「計算解剖モデルに基づく診断・治療の融合的支援」の概要を紹介する.とくに,「融合的支援システム」の定義を示し,「ナビゲーション型診断治療融合的支援システム」について解説する.融合的支援システムとは,診断から治療までの各段階をシステムを切り替えることなくつなぎ目なしに支援できるシステムを意味し,治療中(手術中)に病変自動検出などの診断支援処理や治療計画再作成を行う,診断中に治療計画の作成を行うなど,診断,治療計画策定,治療等の支援機能を一体的に利用できるシステムのことである.さらに,本稿では,癒合的支援システムに向けた筆者らの研究の取り組みの紹介として,血管名自動対応づけ手法,ボリュームレンダリング画像上における血管名表示法などを示す.
  • 清水 昭伸
    2011 年 29 巻 3 号 p. 134-137
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    オートプシー・イメージングは,剖検と関連づけながら死亡時に行う画像診断のことである.最終的な目的は死因の正確な推定にあり,死体の解剖率が先進国中最低の2パーセント台であるわが国の現状を踏まえて提唱されている,死亡時医学検索の新しい方法である.本稿では,計算解剖学に基づくオートプシー・イメージング支援を目指す本計画班の最近のいくつかの成果について紹介する.
  • 木戸 尚治, 平野 靖, 徐 睿, 庄野 逸
    2011 年 29 巻 3 号 p. 138-142
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    新学術領域研究「医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化」において,われわれは計算解剖に基づいたコンピュータ支援診断システムの開発と臨床評価および,オートプシー・イメージングの応用として個人の生前と死亡時の両方の画像を用いた支援診断法の開発・研究を行うことをめざしている.今後はさらに,研究領域内の他の計画班と連携した研究も行う.本論文では,われわれの計画班の研究の背景や目的と現在までの成果について報告する.
  • 富川 盛雅, 橋爪 誠
    2011 年 29 巻 3 号 p. 143-148
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    計算解剖学の臨床応用のプラットフォームを構成する要素技術として各種のシミュレーション技術あるいはナビゲーション技術を開発している.Open MRI治療室内で行う超音波ガイド下肝癌局所治療を51例の肝癌患者に応用し,その治療成績につき検討した.全例において腫瘍と穿刺針の3次元位置関係が直観的に把握でき,誤差は2~4mmであった.とくに,超音波ガイドのみでは十分に描出されなかった12例に対してもリアルタイム3次元ナビゲーションにより穿刺が容易となった.リンパ節自動検出システムでは主病変近傍の3個のリンパ節は放射線科読影専門医の診断とすべて一致していたが,偽陽性も多くみられた.主病変と離れた遠隔リンパ節の検出や転移診断能については今後の研究開発が待たれる.バーチャル気腹システムでは,おおむね実画像と同等と考えられるバーチャル画像が得られた.本システムを応用し,個別化されたトレーニングを行うことにより手術トレーニングがより精緻化することが期待される.また,バーチャル内視鏡システムを応用した血管内フライスルーシステムを開発している.Interventional radiologyではカテーテル操作を2次元のX線透視検査の下で施行せざるを得ないが,本システムは有効に臨床応用できる可能性があり,さらに多くの症例で検証していく必要性がある.計算解剖モデルに基づいて臨床展開を行うプラットフォームの確立は未だ道半ばといえるが,臨床応用への大まかな筋道は立てられたように思う.
研究論文
  • 渡辺 航, 本谷 秀堅, 渡邉 順久
    2011 年 29 巻 3 号 p. 149-155
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    本稿では,X-CT画像中の臓器抽出のための,確率モデルに基づくレジストレーション法を提案する.提案法は,臓器モデルを画像に対してレジストレーションするだけでなく,レジストレーションの結果の確度の推定も行うことができる.提案法では,Point Distribution Modelに基づき,臓器表面を表現する.モデルの各点は,自身の位置の事前分布,周囲に出現する局所画像のアピアランスの確率分布,隣接する二点間の相対位置に関する確率分布を持つ.新規画像に対してレジストレーションを行う際には,モデルの各点の位置の推定事後分布を計算する.推定にはノンパラメトリック確率伝播法を利用する.推定事後分布の分散を参照することで,レジストレーション結果の精度を部位ごとに評価することが可能である.本稿では実画像の大動脈を対象に提案法を適用し,その基本性能を評価したので報告する.
研究室訪問
日本医用画像工学会
編集後記
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