抄録
実用的なCT画像再構成法は,X線源と検出器が円軌道上を動くことを想定している.しかし,計測時間削減のため短い軌道で撮影を行ったり撮影中に対象物が動く場合には,任意の軌道上にX線源を動かして測定した投影データからの画像再構成法が必要となる.本論文では,任意のX線源軌道に適用可能なファンビームCT画像再構成の一般式を導出する.また,実際の実装や応用のため,その一般式を円弧状検出器と直線状検出器に書き直した具体的な画像再構成法を導出する.提案手法では,他の再構成法と同様に投影データの冗長性を補正する重み処理が必要になる.通常は,冗長性の補正に投影直線と軌道の交差回数を計算する必要があるが,その計算は複雑な軌道では容易でないため,正負符号重み関数という新しい冗長性を補正する関数を提案する.提案手法の有効性を示すため,標準的なShepp-Loganファントムを用いたシミュレーション実験を行った.