2012 年 30 巻 1 号 p. 11-16
赤外のレーザー光は,皮下に存在するメラニンに対して選択的に吸収されやすいため,良性の色素性疾患治療に有効であり,レーザー脱毛にも応用できる.しかし,同じ用途に対してさまざまな波長のレーザーが用いられており,最適な波長が明らかとなっていない.また,これまでのレーザー装置は巨大,高価かつ使用に専門的知識を必要とする.一方,個人向けに売られている商品は,波長,出力,照射範囲などが曖昧となっている.本研究では,脱毛や色素性疾患治療に利用可能な近赤外半導体レーザーを模索すべく,細かく刻んだ人毛をサンプルとして,サンプル温度の上昇におけるレーザー波長依存性を調査した.その結果,波長が784.74nmのときに温度変化が大きいことがわかった.