抄録
従来のICG観察システムでは,蛍光をモニタで観察するため,蛍光部位と観察部位の位置関係把握が困難であり,またシステムが高価であることから広く普及するに至らなかった.そこで本研究では,市販のUSBカメラとレーザープロジェクタを用いて蛍光を取得,投影し,より低価格で直感的な観察システムを構築する.本システムは乳がんのセンチネルリンパ節同定,皮膚がん,リンパ浮腫など,体表の比較的浅い部分の病変部を主な観察対象とする.本システムでは赤外LEDを用いてICGを励起させ,励起画像と非励起画像の差分をとることで蛍光部位を抽出する.取得画像は空間コード化法を用いて歪み補正を行い,レーザープロジェクタで対象部位に投影する.投影距離200mmにおける平均投影誤差は0.5mm以内であった.ファントム実験の結果,最大深さ12mmのICG蛍光を観察可能であった.また動物実験によって,本システムの臨床における実現可能性が示唆された.