Medical Imaging Technology
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研究速報
腎臓の位相コントラストX線CT観察—エタノール固定法とホルマリン固定法の違い—
白井 亮多國井 琢矢米山 明男丸山 弘子ティティ ルイン武田 徹
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2012 年 30 巻 5 号 p. 298-302

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抄録
近年,X線干渉計を用いた位相X線CT装置が開発されている.従来の吸収の散乱断面積に比べ位相シフトの散乱断面積は,軽元素に対して1000倍以上大きく,生体や有機試料を非造影で観察できる.本研究では,100%エタノールと10%ホルマリンで潅流・固定したラットの摘出腎臓を位相X線CTで撮影し,脱水効果が著明で組織密度差を際立たせるエタノール固定法が画質に与える影響を比較,検討した.実験は高エネルギー加速器研究機構で実施し,撮影時のX線エネルギーを35keVとした.位相コントラストX線CT画像で腎臓の微細構造がエタノール固定法でより鮮明に描出された.エタノール固定腎臓の皮質と髄質間の画像コントラストは画素値比で43%と,ホルマリン固定の21%に比べ約2倍高かった.組織像は皮質部の組織凝集が強いことを示唆した.したがって,腎臓内構造のイメージングにはエタノール固定法も有用と考えられた.
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© 2012 日本医用画像工学会
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