抄録
胸部CT画像における結節の高速検出手法として,我々は円筒型フィルタを開発し,評価を行ってきた.その問題点として,気管支や血管と近接あるいは付着した結節の検出率が低いことがあげられる.そこで,肺の正常構造である気管支や血管の構造を利用し,肺結節の検出能力を改善する手法を提案する.本手法では,胸部CT画像を肺正常構造とそれ以外の領域に分類し,おのおのに対して特性の異なる円筒型フィルタで処理し肺結節を検出する.本手法の有効性を評価するために,胸部CT画像に対し従来手法と提案手法を適用し,結節検出能力を比較した.その結果,従来手法の真陽性率が0.72であったのに対し,提案手法は0.79となった.このときの1症例あたりの偽陽性数は従来手法,提案手法ともに4.19であった.よって,本手法を用いることで結節検出能力が向上することが確認された.