抄録
MRIにおいて高周波送信技術は均一性のよい画像を得るために必要不可欠な技術であり,そのために均一な高周波磁場を発生させる送信用RFコイルの設計が重要であった.それは初期の頃のソレノイドコイルからはじまり,鞍型コイル,Slotted-tube resonator,そしてBirdcageコイルへと進展し,QD送信技術を併用することで,広い均一領域を達成しほぼ完成したかに見えた.しかし,さらなるSNR向上を求めた超高磁場化に伴い,波長短縮による不均一性やSARの増加など新しい技術的課題に直面しており,従来の技術だけでは安定した画質を提供することが困難になってきた.本稿では,MRIにおける送信技術の基礎技術と高磁場化における課題を概観する.