2014 年 32 巻 2 号 p. 132-142
標的に限局した高度な放射線治療の実現には画像情報が重要であり,直線加速器に搭載されたkilo-voltage cone-beam computed tomography(kV-CBCT)は照射直前の標的を画像化し照射精度を向上できる.しかしkV-CBCTはデータ収集時間が長いため,標的の動きの影響により画質が劣化し,照射精度の低下につながる.そこで本論文では標的の動きを考慮した画像再構成法を提案し,その実現可能性をシミュレーションおよび実験により評価した.具体的にはkV-CBCTの投影画像からテンプレートマッチング法にて標的位置を2方向で検出した.そして同じ位置の投影データのみを用いてサイノグラムを作成しFBP(filtered backprojection)法により標的位置ごとの画像再構成を行った.その結果,動きの影響によるボケが本手法により改善し,標的の動きを反映した再構成画像が取得できた.