Medical Imaging Technology
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32 巻, 2 号
MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
特集/エラストグラフィ最前線
  • 菅 幹生
    2014 年 32 巻 2 号 p. 61-62
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
  • 椎名 毅
    2014 年 32 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    超音波エラストグラフィは,がんや動脈硬化,肝硬変など,組織硬化性の病変を伴う疾患の診断を目的に,組織の硬さを実時間で簡便に可視化できる方法として1990年ごろから研究開発が進められた.2003年には,最初の臨床用装置がわが国において開発されて以来,乳がん診断をはじめその有用性が実証された.そして,現在では,ほとんどすべての超音波機器メーカが,Bモード,ドプラ法に次ぐ第3のモードとしてエラストグラフィ機能を搭載した診断装置を提供するまでになった.一方で,エラストグラフィの原理は,組織圧迫によるひずみを画像化するストレイン・イメージング(strain imaging)と体内にせん断波を発生させて,その速度分布を用いるシアウェーブ・イメージング(shear wave imaging)の2つがあり,それぞれ画像の解釈や計測法に特色がある.最初の製品化から10年たった2013年には,超音波医学関連の学会で,超音波エラストグラフィの診断ガイドラインを制定する動きがはじまっている.
  • 新田 尚隆
    2014 年 32 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    がん腫瘍のスクリーニングとして触診が行われてきたように,組織の硬さ(弾性)が診断に有用な情をもたらすことは古くから認識されていた.近年,画像診断において組織弾性を定量的かつ客観的に評価し,その分布を画像化するさまざまなエラストグラフィ技術が実用化され,臨床的知見の蓄積とともに診断のためのガイドラインが検討されるなど,診断技術としての地位が確立されつつある.中でも静的加圧に基づく超音波エラストグラフィは初めて実用化された技術で,すでに10年が経過し,技術的には成熟段階を迎えたといえる.その原理は,組織を静的に加圧して生じた組織内の変位分布を超音波で計測し,さらにひずみ分布を計算して,これらをリアルタイムでイメージングすることにあり,これまでさまざまな加圧方法,計測方法が開発され,発展してきた.本稿では,こうした開発の経緯も踏まえつつ,静的加圧に基づく超音波エラストグラフィの原理について概説する.
  • 山川 誠
    2014 年 32 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    近年,超音波を用いて生体組織の硬さを計測する技術が実用化し,臨床においてもその有効性が示されている.超音波を用いて組織の硬さを計測する手法としては,ひずみ分布を計測する手法とせん断波速度を計測する手法がある.本論文では,超音波を用いてせん断波速度を計測し,そこから組織の硬さを推定する手法の原理について解説する.具体的には,まず組織の硬さとせん断波速度の関係について述べ,次にせん断波の生成方法,超音波によるせん断波伝搬の計測方法,計測された超音波データからのせん断波速度推定法,最後にせん断波位相速度から組織粘弾性を推定する手法について述べる.
  • 菅 幹生
    2014 年 32 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    生体組織の粘弾性は,生理学的および病理学的状態と関係する.磁気共鳴エラストグラフィ(MRE)は,MRIにより造影剤なしで血管造影を可能とする位相コントラスト法と同様の技術を用いて,生体組織内を伝搬する弾性波を非侵襲的に画像化する.弾性波画像から逆問題を解くことで,定量的な局所組織弾性分布画像(エラストグラム)は再構成される.生体組織内に弾性波を発生させ,MRIによって画像化するために,さまざまな外部加振装置とMRI制御プログラム(パルスシーケンス)が開発されている.また,得られた弾性波画像から定量的なエラストグラムを取得するために,種々の解析手法が提案されている.これらMREを構成する3つの要素は互いに深く依存している.本稿では,MREの研究開発の現状と動向を概説する.
  • 鷲尾 利克
    2014 年 32 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    MRエラストグラフィは非侵襲に臓器の力学特性を計測する方法であり,双極性傾斜磁場と波動伝搬に基づく技術である.撮像時において,双極性傾斜磁場をかけながら,それと同期した強制せん断振動を与えることで,波動の伝搬を位相情報として収集することを可能にしている.一般的に,波動が伝わる速度は位相情報から得られる波長と強制振動周波数の積であり,また伝搬する波動の速度の二乗は,剛性率を媒質の密度で除すことで求められる.したがって,臓器の剛性率は,位相画像から計測される波長,あらかじめ決められる振動周波数,そして生体組織の密度(水と等しい)を用いて計算される
  • 中村 玄
    2014 年 32 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    本稿ではMRエラストグラフィのハードウェアにより得られる生体内あるいはファントム内を伝搬する定常粘弾性波動の情報から,粘弾性率分布あるいはそれを示唆する指標を与える数学的方法のいくつかを紹介する.生体あるいはファントムを粘弾性体としてモデル化し,このモデルの粘弾性率分布を与える修正積分法を紹介する.そして,このようなモデル化をすることなく,粘弾性率分布を示唆する指標を与える連続ウェーブレット変換による方法を紹介する.
特集/システム開発論文
  • 野村 行弘, 増谷 佳孝, 三木 聡一郎, 花岡 昇平, 根本 充貴, 吉川 健啓, 林 直人, 大友 邦
    2014 年 32 巻 2 号 p. 98-108
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    CADの性能は機械学習によるところが大きく,開発用データセットと実運用時のデータの画質が異なる場合,通常は期待される性能が得られない.このため,使用施設のデータを継続的に収集して再学習を行うことでCADの性能改善が期待される.本論文では,遠隔読影環境での多施設連携によるCAD開発,実運用,および継続的性能改善について報告する.われわれが開発した統合的CAD実行/評価環境(CIRCUS CS)を遠隔読影環境へ導入するためにシステムの機能追加を行った.2011年9月より東大病院の初期開発用データセットで学習した2種類のCAD(肺結節検出,脳動脈瘤検出)を遠隔読影環境下で使用し,評価(フィードバック)データの収集を行った.収集したデータを用いた再学習のシミュレーションにより,施設ごとのCAD性能が改善されることを確認した.このことにより,画質の多様性に対応したCAD開発/臨床使用の促進が期待される.
  • 赤澤 礼子, 山川 善之, 橋爪 宣弥, 小林 哲哉, 北村 圭司
    2014 年 32 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    PET 装置におけるリストモード3D再構成は,サイノグラム3D再構成と比較して使用データ量が削減でき,TOF(time of flight)情報を詳細に画像へ反映できるというメリットがある.一方で,リストモード3D再構成はイベント数に比例して計算時間が増加するという問題点がある.本研究では,最も計算負荷の高い順投影・逆投影計算についてCUDA(Compute Unified Device Architecture)を利用した並列計算を行い,計算時間の短縮を試みた.並列化にあたり,リストデータを主方向(LORの方向余弦が最大の主軸)別に並列計算させることによるメモリアクセス効率の向上を図り,TOFカーネルの実装ではテクスチャを利用することで計算量の低減を行った.計算時間の評価では,既存の8 コアCPUの並列計算結果と比較して約7.8倍の高速化を達成した.
研究論文
  • ―従来のホルマリン固定法と比較して―
    小久保 翔吾, ティティ ルイン, 米山 明男, 兵藤 一行, 丸山 弘子, 武田 徹
    2014 年 32 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    近年,X線干渉計を用いた位相X線CT装置が開発されている.従来の吸収の断面積に比べ,位相シフトの散乱断面積は軽元素に対して1000倍以上大きく,非造影で生体や有機試料の観察が可能である.本研究では,普段固定に用いられるホルマリンと比較して脱水効果が高く,組織密度差を際立たせるエタノール固定法を用い,どの程度の高コントラスト画像を得られるか,脳を対象として検討を行った.実験は高エネルギー加速器研究機構で実施し,撮影時のエネルギーは35keVとした.100%エタノールで潅流・固定したラットの摘出脳を位相X線CTで撮影し,高コントラストな脳画像が得られた.特に,白質構造が明瞭に描出され,画像処理ソフトを用いて,脳梁から連なる神経叢を三次元的に抽出することも可能であった.
  • 伊藤 聡志, 原田 弘章, 山田 芳文
    2014 年 32 巻 2 号 p. 123-131
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    MRIにおいて三次元的な関心領域を高速に撮像する方法に,二次元撮像を応用したマルチスライス撮像がある.このマルチスライス撮像は適切な信号収集軌道のもとで撮像を行うと,三次元空間におけるスパース性を利用した圧縮センシングを適用することができる.マルチスライス撮像に圧縮センシングを適用する場合にスライス間にあるスピン密度の連続性を利用し三次元像として再構成する場合と,スライスごとに独立に二次元再構成する場合とで再生誤差の比較を行った.信号収集比率を同条件として比較を行った結果,再構成に利用するスライス枚数が多いほど再生像に含まれる誤差が減少し,再生像の品質が向上することが示された.また,スライス方向に対し画像の輝度値変化が小さい画像ほど三次元再構成による誤差軽減効果が大きくなることが示された.さらに画像にスパース性を導入する関数比較では,三次元FREBAS変換は三次元ウェーブレット変換に比べ,再生誤差の少ない画像を再生することが明らかとなった.
研究速報
  • 臼井 桂介, 黒河 千恵, 杉本 聡, 株木 重人, 国枝 悦夫, 笹井 啓資, 尾川 浩一
    2014 年 32 巻 2 号 p. 132-142
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/24
    ジャーナル フリー
    標的に限局した高度な放射線治療の実現には画像情報が重要であり,直線加速器に搭載されたkilo-voltage cone-beam computed tomography(kV-CBCT)は照射直前の標的を画像化し照射精度を向上できる.しかしkV-CBCTはデータ収集時間が長いため,標的の動きの影響により画質が劣化し,照射精度の低下につながる.そこで本論文では標的の動きを考慮した画像再構成法を提案し,その実現可能性をシミュレーションおよび実験により評価した.具体的にはkV-CBCTの投影画像からテンプレートマッチング法にて標的位置を2方向で検出した.そして同じ位置の投影データのみを用いてサイノグラムを作成しFBP(filtered backprojection)法により標的位置ごとの画像再構成を行った.その結果,動きの影響によるボケが本手法により改善し,標的の動きを反映した再構成画像が取得できた.
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