抄録
本邦における遺体の観察は奈良時代に始まり,西洋医学の発展に伴うマクロ解剖学を経て,現在のオートプシー・イメージング(autopsy imaging: Ai)に繋がっている.Aiの歴史は10年あまりにすぎないが,数年後には解剖総数を上回るような勢いで普及しつつある.Aiの実施形態は,死亡全例にAiを行い,死因究明された症例を除いて解剖を実施するAi学会方式,病理解剖・法医解剖の補助として活用されるケース,そしてAiと解剖をパッケージとして実施し,解剖が承諾されない症例にAiを実施する「福井大学方式」が知られるが,解剖医が常駐する施設が少ないため,Aiは施設の実情に合わせて施行されており標準化されていない.今後,解剖件数が劇的に回復することが期待できない中,欧州ではminimally invasive autopsy(MIA: 低侵襲解剖)が模索されており,本邦でも医用画像工学と病理学が連携して新たな解剖技術の創設が求められる可能性がある.