抄録
アルツハイマー型認知症の早期診断には,アミロイドPET(positron emission tomography)画像から推定される灰白質へのアミロイド沈着量の解析が有効である.しかし,PET画像では,その低空間分解能に起因する部分容積効果により,灰白質へのアミロイド沈着量が過小評価される傾向がある.本研究では,PET/CT(computed tomography)により同時撮像されたCT画像から得られる高解像度の形態情報を利用することで,PET画像の部分容積効果の補正を行い,アミロイド沈着量の定量性改善を試みた.AD(Alzheimer's disease)患者9名,健常者11名の臨床データからCT画像の形態情報に基づいて,PET画像の部分容積効果の補正をSPM8(statistical parametric mapping 8)を用いて行うことで,AD患者群と健常者群の差を際立たせることができることをVOI(volume of interest)解析により示した.AD診断に有効とされる8箇所のVOIに対してROC(receiver operating curve)を作成し,AUC(area under ROC curve)を比較したところ,すべてのVOIで部分容積効果の補正を適用した結果が適用しない結果を上回った.