2016 年 34 巻 2 号 p. 68-75
がん死の9割はがんの転移によるものであり,転移は循環腫瘍細胞が原発腫瘍から血液を介して新たな部位に移動し増殖することで引き起こされる.循環腫瘍細胞の同定は転移の前にがんの検出を行うことが可能であるが,循環腫瘍細胞は非常に稀少であるため,光学顕微鏡で検出することは困難である.この技術的課題は,マイクロ流体工学と光学タイムストレッチ・イメージング(optical timestretch imaging)とよばれる高速光学撮像法を融合することで達成するハイスループット・イメージ・サイトメトリーを用いることで解決することが可能である.この総説では、その光学タイムストレッチ・イメージングの原理とがん検出への応用に関して解説する.