2017 年 35 巻 4 号 p. 250-254
X線CT(computed tomography)検査は,身体の任意の横断面を短時間に高精細な画像として取得できることから,さまざまな病気の診断に汎用されている.その一方で,他の放射線画像診断検査よりも比較的高い放射線量を被ばくすることが知られており,最新の疫学調査では,幼少期に複数回のCT検査を受けた小児患者で発がん率の増加が認められている.かといって,CT検査によるリスクが低減できないわけではない.患者に便益をもたらす画質と不利益の要因である放射線量の関係を正しく理解さえすれば,患者の利益を損なわない程度に,無用な被ばくを避け,リスクを低減することは充分可能である.これを実現するにはまず,CT検査において患者がどれだけの線量を被ばくしているのかを正確に把握することが必要である.本稿では,日本のCT検査における線量レベルと防護の最適化への試みを紹介する.