2018 年 36 巻 4 号 p. 189-195
糖尿病網膜症の初期所見のひとつに毛細血管瘤がある.毛細血管瘤は眼底画像上で小さくてコントラストが低いため,医師であっても目視による検出は困難である.一方で,畳み込みニューラルネットワークは,画像認識の分野で良好な結果を示してきた.そこで,本論文では,畳み込みニューラルネットワークを用いて毛細血管瘤を自動検出する手法とその成果について述べる.最初に,ヘッセ行列に基づくshape index,2重リングフィルタ,ガボールフィルタを適用して,毛細血管瘤の強調画像を作成した.そして,畳み込みニューラルネットワークを用いて毛細血管瘤を検出した.その後,畳み込みニューラルネットワークと,48種類の特徴量に基づく3層パーセプトロンによって偽陽性候補を削除した.眼底画像データベースのDIARETDB1を用いて提案手法の性能を評価したところ,先行研究の性能を上回る良好な結果を得た.