2019 年 37 巻 1 号 p. 46-50
現在,肝がんは専門の知識や経験をもった読影医の目視で診断がなされており,読影医の負担となっている.そのため,機械学習等を用いた読影支援が望まれている.機械学習においては,一般に多くの症例画像が必要となるが,大量に集めることは困難である.そこでわれわれは,症例不足を補うことを目的とし,健常症例に対して病変を合成することで人工的に症例画像を生成することに取り組んできた.本論文では,形状や大きさ,コントラストが異なるさまざまな見え方の人工病変画像を生成し,CNNの性能向上に有効な画像の生成法を提案する.生成した病変画像を学習データとして実病変画像と併用し,検出器を構築した.20症例に対する検出実験の結果,従来手法より検出精度が向上することを確認した.