Medical Imaging Technology
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サーベイ論文
精神・神経疾患バイオマーカーとしての脳MRI画像解析 ―正当性・妥当性のある結果を目指して―
舞草 伯秀
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2021 年 39 巻 2 号 p. 51-58

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抄録

Magnetic resonance image(MRI)によるT1強調画像は,軟組織のコントラストに優れる撮像技術であるため,脳変性を伴うような精神・神経疾患の診断に多く用いられている.従来は放射線科医師による視覚評価にとどまっていたMRIの臨床利用であるが,近年は工学や情報学の研究者による画像解析技術の発達に伴い,voxel by voxelや解剖学的関心領域内の脳組織の体積を定量的に評価することが可能となり,定量性・客観性・再現性に優れた疾患の代理バイオマーカーとして注目されている.しかしながら,MRIはその撮像原理に起因する幾何学的ゆがみや信号不均一,また画質が装置間で異なることから,画像解析結果が機種によって異なる機種間差:scanner effectの問題があり,再現性にまだ課題を残している.このような問題に対して,これまで撮像プロトコルの統一化や,画像処理による補正によって信号不均一や幾何学的ゆがみを取り除こうとする試みが報告されてきた.さらに近年,確率統計学的手法を用いて画像解析値からscanner effectを推定し補正するharmonizationが注目されている.これらscanner effectに対する取り組みの報告について紹介するとともに,工学・情報学の研究者が臨床画像を用いた解析・研究を行う際の注意点について総説する.

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© 2021 日本医用画像工学会
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