2021 年 39 巻 2 号 p. 77-89
輪郭情報の定量的評価法である楕円フーリエ記述子を用い,石灰化分布形状の輪郭を解析するとともに,人工石灰化画像の生成に応用する手法を検討した.画像データから得た石灰化分布の形状情報を楕円フーリエ記述子に変換し,主成分分析で得られた第1~4主成分得点と面積を特徴量とし,SVMを用いて判別した結果,比較的悪性度の高い石灰化3分類(Clustered,Linear,Segmental)を約90%のAccuracyで判別できることを確認した.また,あらかじめ抽出しておいた個々の石灰化陰影を,各主成分得点の値を変化させ生成した石灰化分布形状の輪郭内にランダムに配置し,別の乳房X線画像に埋め込むことによりさまざまな石灰化分布を有する石灰化画像を人工的に生成する手法を開発した.7名の放射線科医による視覚評価を実施し,人工石灰化画像と実症例画像の「本物らしさ」の評価値に統計的有意差がないことを確認した.