医療デジタルトランスフォーメーション（DX）が進められている中，医師の技量に大きく依存する外科手術の領域においても，デジタル化が注目されている．手術室内の各機器から出力される情報のデジタル化によりビッグデータが蓄積可能となってきた．本稿では豊富な医療情報をもとに行われるようになるAI Surgery を実現する手術支援プラットフォームとして，われわれが開発しているスマート治療室SCOT（Smart Cyber Operating Theater）および臨床情報解析装置C.I.A.（Clinical Information Analyzer）について概説し，現状の課題および今後の展望について述べる．SCOT は手術室内の医療機器間をネットワーク接続する機能を有しており，その上で動くアプリケーションでは，時間同期された種々の情報による異種情報統合ナビゲーションや，分析・予測定時などさまざまな用途が考えられている．また，脳神経外科手術におけるAI の活用として，われわれが開発しているC.I.A. のシステム概要と，データをもとにした術後の予後予測研究，類似症例抽出に関する研究を紹介する．
