2025 年 43 巻 2 号 p. 52-60
医療分野において,完全なアノテーションが与えられた学習データを収集することは難しい.本論文では腹部超音波画像からの肝腫瘍検出を対象に,画像内の一部の腫瘍に位置情報を与えた,部分的にアノテーションされた転移性肝がんの検出についてYOLOv3の損失関数を調節する手法を提案する.YOLOv3の損失関数の背景領域に関する項に対して腫瘍の種類に応じた重みを加えることで,アノテーションがない腫瘍に対する検出精度の改善を試みた.転移性肝がんの重みのみ小さくした実験の結果,転移性肝がんに対する再現率の向上が確認された.また,重み0.1のとき,アノテーションが与えられた転移性肝がんの適合率は1割程度低下したが,これは評価データにおいてアノテーションが与えられていない腫瘍を検出したためである.他の腫瘍においては再現率,適合率ともに精度に変化はなかった.この結果から,本手法の有効性が示唆された.