メルコ管理会計研究
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事例紹介
学習ツールとしての予算管理とラーニング・アプローチ
―大幸薬品管理部門の事例―
高橋 祥二
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2018 年 10 巻 2 号 p. 81-91

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抄録

「世界はあまりにも複雑すぎるので,戦略をはじめから一度に明確なプランやビジョンという形で表すことは不可能である。ゆえに戦略は,組織が適応あるいは『学習する』中で,少しずつその姿を現さなければならない」というラーニングスクールの考え方に依拠し,戦略的に学習を通じて戦略的適応と組織能力を向上させている大幸薬品株式会社の管理部門の事例を紹介する。事例として,大幸薬品株式会社全部署ではなく,CFOが直接コントロールしている管理部門に焦点を絞った。これは,CFOが,経営を学習することおよびその学習した能力をもって他部署を支援することにより会社全体の組織能力を高めていくというラーニング・アプローチを管理部門にて実践していることによる。事例では,管理部門が主導したアース製薬との資本業務提携のOEM事業の予算管理を取り上げた。事例を通じて,ラーニング・アプローチを実現する上で,その学習ツールとしての予算管理がどのように利用されているか,さらに,予算管理の有効性を高めるため,オペレーション体制がどのように設計・活用されているかを検討した。

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