2018 年 10 巻 2 号 p. 65-80
本研究は,地球温暖化に取り組む企業のマネジメント・コントロール・システムに焦点を当て,環境業績指標の利用に影響する要因を明らかにすると共に,環境業績指標の利用が環境パフォーマンス,つまり温室効果ガス排出量削減に貢献するかどうかについて検証した。環境業績指標の利用は,マネジメント・コントロール・システムの背景となる情報フローに焦点を当て,フィードバックとフィードフォワードの2つのタイプについて考察した。日本の製造業を対象に実施した質問票調査のデータを用いた分析によって,環境業績指標の利用としてフィードバックとフィードフォワードの統合モデルでは,ステイクホルダーの要請の認識と経営者の関与が環境業績指標の利用に対して,有意な影響が見られることが明らかとなった。これらの要因は,フィードバックモデルに対しては影響しておらず,戦略を考慮した環境業績指標の利用における特徴と言える。また,情報フローのタイプに関わらず,環境業績指標の利用の程度が高いほど,環境パフォーマンスに影響することが明らかになった。