2020 年 12 巻 1 号 p. 17-29
本稿では,マネジメントコントロールが将来の企業業績にどのような影響を及ぼすのかについて,公表情報をもとに検証を行っている。分析においては,有価証券報告書の「コーポレートガバナンスの状況等」の記載内容にテキスト分析の手法を適用することによって,経営者のマネジメントコントロールへの関心の高さを定量的に測定した。分析の結果,過去5年間に及ぶ経営者のマネジメントコントロールに対する意識レベルが,1年先から3年先の将来ROAに対して正の影響を与えていたことが明らかになった。このことは,経営者がマネジメントコントロールに対して高い意識をもつ企業ほど,良好な将来業績に結びつくことを示している。