他者との相対的な順位により評価を行うトーナメントは,広く普及しているインセンティブ制度である。しかし,トーナメントの参加者間で能力に差がある場合,参加者の努力を十分に引き出すことができないという不均質コンテストの問題が知られている。本稿では,この不均質コンテストの問題を,上司にモニタリングの権限を与えることで解決できるか実験室実験により検証した。検証の結果,①上司によるモニタリングがトーナメント参加者の努力を引き出すこと,②理論の予測よりも高い水準の努力が継続して選択されるケースがあること,の2点が明らかとなった。本稿の結果は,上司にモニタリングの権限を与えることで不均質コンテストの問題を解決できる可能性があること,また,金銭以外の要因が,トーナメントにおける参加者の行動に無視できない影響を与えることを示している。