抄録
本稿は,経理社員制度を採用しているLIXILのケース・スタディに基づいて,本社から事業部に出向している経理社員が,事業部の非会計部門の管理者に対して,会計情報の分析・解釈を通じた意思決定の支援を担うビジネス・パートナーとしての役割を発揮するためにはどのような条件が必要であるかを考察した。先行研究では,欧米企業の文脈においてではあるが,管理会計人のビジネス・パートナーとしての役割発揮に必要な条件についての検討が行われてきた。本稿では,それらの知見に基づいて,経理社員のビジネス・パートナーとしての役割発揮に必要な条件の理論的フレームワークを構築し,それらの条件がLIXILの経理社員制度においてどのように当てはまっているかを考察した。その結果,「役割期待」,「機会」,「能力」,「信頼」の4つの条件が必要であることに加え,これら4条件がどのように結びついてビジネス・パートナーの役割発揮につながっているかが明らかになった。