2009 年 2 巻 1 号 p. 111-126
近年,税務当局から移転価格税務調査を受ける企業が急増しているが,企業が移転価格税制に対応して国際移転価格を設定する場合には,そのことに基因して海外現地法人の業績評価を適切に行えないことが生じうる。この問題を適切に把握し,解決策を探るためには,文献研究に加えて,実態調査を行うことが必要である。そこで,本研究では海外現地法人を有する日本の製造業(上場企業および非上場企業)を対象としてアンケートによる実態調査を実施した。「海外現地法人の業績評価」,「国際移転価格の設定」および「移転価格税制」という3つの調査項目を設けて,海外現地法人の業績評価および移転価格税制の側面から国際移転価格の設定の実態を明らかにした。