日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナAAO3遺伝子の発現制御機構の解析
阪本 愛弥高木 郁瀬尾 光範神谷 勇治南原 英司*小柴 共一
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p. 509

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抄録
アブシジン酸(ABA)は、乾燥、高塩などの環境ストレス応答に関わる植物ホルモンとして知られている。我々はこれまでに、シロイヌナズナアルデヒド酸化酵素の一つであるAAO3が、ABA生合成の最終段階を触媒することを明らかにしてきた。AAO3はその発現量が植物の葉の乾燥処理によって急速に誘導される事から、ストレスに応答したABA生合成に重要な役割を果たしている事が考えられる。本研究ではストレスに応答したABA生合成におけるAAO3の役割、さらには植物のストレス応答機構を明らかにする一端として、AAO3遺伝子発現調節の解析をおこなった。AAO3は、乾燥、浸透圧の増加によって主に地上部(葉)において発現誘導されたが、これらの処理は根におけるAAO3遺伝子発現には大きな影響を与えなかった。これに対し、塩(NaCl)処理は根におけるAAO3の発現を有意に誘導した。さらに、AAO3の地上部と根における発現はABAによっても誘導された。これらのことは異なるストレス条件下においてAAO3遺伝子の発現が器官特異的に複雑に制御されていることを示唆している。また、AAO3遺伝子上流域には、既知のストレスもしくはABA誘導性のシス配列が存在しない事から、植物のストレス応答における新たな遺伝子発現制御機構が存在すると考えられた。現在、詳細な発現制御機構を解明するため、プロモーター解析を進めている。
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© 2003 日本植物生理学会
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