抄録
本研究はわが国企業における財務的・非財務的業績評価指標の運用実態について明らかにすることを目的としている。研究に当たっては東証1部上場企業の中から分権型組織形態を採用していると見られる3,245部門に対し質問調査表を郵送し,307部門から回答を得た。財務的業績評価指標については,事業部門からグループ本社へ報告されるのは依然として売上高,営業利益,経常利益が中心であることが明らかになった。品質に関する指標以外の非財務的業績評価指標については,事業部門からグループ本社へ報告されるものは過半数に満たなかった。また,業績評価指標をSimonsが提唱する対話型コントロールシステムとして活用している企業・部門が多いことなどが明らかにされた。