2011 年 4 巻 1 号 p. 13-22
社会の視点からわが国の管理会計を考察するため「新しい会計史」のアプローチを採用し,原価企画の中でも特にVE(Value Engineering)がいかに普及したのかという問いを立て,社会学における制度概念によりこれを解釈する。定性的資料の分析から,VEは「近代化」および購買職務の権限強化の正統性により購買部門から組織内外に拡散したこと,およびその中で各種管理技術との区別が曖昧なまま伝播したことにより,管理技術との相互浸透において柔軟に正統性を変えながらそれら技術の中に浸透したことの可能性を指摘する。