メルコ管理会計研究
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研究論文
営業部門における業績評価とICTの関係について
椎葉 淳奥田 真也
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2016 年 9 巻 1 号 p. 15-28

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抄録

本研究では,日本の製造業に属する企業の営業部門を対象とした質問票調査に基づいて,ICT(Information and Communication Technology)の活用状況と利用される業績評価指標の関係について検証した。検証の結果,ICTの利用度が高まれば高まるほど,粗利益といった利益指標や顧客満足度を含む顧客関連指標といった非財務指標の利用度が高まることが分かった。この結果は,短期的な利用と位置づけられるボーナスにおける利用度に関しても,また中長期的な利用といえる昇進・昇給における利用度に関しても同様であった。ただし,営業利益については中長期的な利用といえる昇進・昇給の利用度に関してのみ統計的に有意であり,営業プロセスについては短期的な利用といえるボーナスの利用度に関してのみ統計的に有意であった。これらのことから,部分的にではあるが,ICTが利用されればされるほど,より詳細な情報を得ることが可能となり,その結果として詳細な情報を必要とする業績指標が利用されるとの仮説を支持する証拠を得た。

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© 2016 公益財団法人 メルコ学術振興財団
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