メルコ管理会計研究
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研究論文
無形資産としての人的資本が環境業績に与える影響についての実証分析
―「環境経営度調査」のデータを用いた実証分析―
北田 真紀
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2017 年 9 巻 2 号 p. 13-33

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抄録

本研究では,無形資産としての人的資本が環境業績に与える影響について実証的に考察する。具体的には,奥林ら(2010)および西川(2010)を参考にし,人的資本を広義に捉え,組織にとって欠かせない従業員の職務遂行能力および労働力と定義する。また,環境業績はJudge and Douglas(1998, 245)を参考にし,環境問題に関しての社会の期待に合致する,もしくはそれを超えるために行っている企業の取り組みの成果と定義する。本研究では,無形資産としての人的資本が環境業績を高めるという仮説を提示し,Surroca et al. (2010)の検証モデルにしたがい,日経リサーチ社の「環境経営度調査」の3年分の公表データを使用して実証分析を行う。具体的には,被説明変数には「環境経営度調査」のデータを使用した環境業績の代理変数を,説明変数である人的資本は,企業の売上高,総資産,および総従業員数から定義した3種類の代理変数を用いて回帰分析を行った。分析の際には,総従業員を対象とした主たる検証に加え,総従業員数に基づいて四分位に分割した検証,および異常値の影響を考慮した追加的な検証も行った。これらの検証の結果,無形資産としての人的資本が環境業績に正の影響を与えるという仮説が支持された。

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