マテリアルライフ
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促進試験による自動車用内装材料の寿命評価
大竹 高明平田 叔子原田 邦行井出 正
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1989 年 1 巻 2 号 p. 87-95

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抄録

自動車用内装材料が劣化する要因は、熱と紫外線の影響が主である。本報では特に熱劣化と耐光性の2点について述べる。インストルメントパネルパッド用の表皮材料の寿命は、短いものから長いものまで様々である。熱劣化によって伸びが20%になったときをABS/PVC/NBRポリマーの寿命とすると、110℃における寿命は、150時間から800時間までのものがある。日本国内市場から回収した実車の表皮材の物性と促進試験により劣化させた材料の物性を対比させたところ、市場での1年は110℃で96時間熱劣化させたものに対応した。なお、TPOレザーは長寿命、変退色が小さいという優れた物性をもつ材料である。耐光性については、直射日光の当たるシートの部分について、JIS L 0841に規定しているブルースケールを用いて変退色の度合を調べた。実際の車での暴露試験と各種促進耐光試験との対比を行った結果、実車1年に相当するものは、 (1) アンダーグラス暴露試験で3ケ月、 (2) キセノンウェザーメータ (パイレックスフィルター付) 暴露試験で200時間である。キセノンウェザーメータ暴露試験は、実車に採用されているシート表皮材についても促進性と再現性があり、他の促進耐光性試験機よりも有効な結果が得られており、実環境との相関性が高いといえる。

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