マテリアルライフ学会誌
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コンクリートの長寿命化対策がライフサイクル二酸化炭素排出量に与える影響
漆崎 昇長尾 覚博水野 稔下田 吉之
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2002 年 14 巻 4 号 p. 198-204

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抄録
コンクリートの高強度化により建物の長寿命化を図ることができる.しかし, 高強度化によりセメントの使用量が増加し, 結果として二酸化炭素排出量が増加する.本報では, コンクリートの (1) 鉄筋のかぶり厚さとコンクリートの設計強度による寿命の推定および (2) ライフサイクル二酸化炭素排出量に与える影響を検討した.その結果, 以下のことが分かった.
(1) 建物の長寿命化の視点から, かぶり厚さの増加は設計強度を向上させるより効果的であった.
(2) 設計強度を向上させるとライフサイクル二酸化炭素排出量は減少する.
(3) 100年の長期使用を前提とすると, 設計強度を向上させるより, 有効なコンクリートのかぶり厚さを確保すれば, 普通ボルトランドセメントから高炉セメントあるいはフライアッシュセメントに変更することにより, ライフサイクル二酸化炭素排出量を大きく削減することができる.
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