抄録
光照射によるセルロース過酸化物の生成を30℃, 空気雰囲気下で検討した.厚さ0.2mmの口紙をセルロース試料として用いた.ベンゾフェノンおよびベンゾインエチルエーテル等の光開始剤のアセトン溶液で前処理したセルロース試料を水中において300nmより長波長光を照射すると, セルロース過酸化物が生成し, 一方, 水中には過酸化水素が生成した.α-ヒドロキシヒドロペルオキシド型のセルロース過酸化物の生成機構を提案した.光照射セルロース試料の化学発光 (CL) を窒素雰囲気下, 100℃ で測定した.光照射試料はCLを示し, 過酸化基含有量の高い光照射試料の方が高いCL強度を示すことが分かった.過ヨウ素酸で酸化してアルデヒド基を導入したセルロース試料を, メタンスルホン酸存在下において過酸化水素で処理してα-ヒドロキシヒドロペルオキシド型のセルロース過酸化物を調製した.このセルロース過酸化物は光照射セルロース試料と同様のCL曲線を示し, そのCL強度は過酸化基含有量に従って増加することが認められた.