2011 年 52 巻 4 号 p. 297-303
Malassezia 属真菌は,皮膚の脂漏部位に常在する好脂性の真菌であるが,一方で,癜風,マラセチア毛包炎,脂漏性皮膚炎,アトピー性皮膚炎の起因菌もしくは増悪因子として知られている.本属真菌はribosomal DNA/RNA解析により再分類され,さらに新菌種報告も続いた.これらは非常に類似した形態と生化学的性状を有しており,表現形質を利用した鑑別は難しいと考えられてきた.分子生物学的解析法は最も信頼性の高い同定法といえるが,一般の検査施設では利用できない状況にある.われわれは(1)分離培地の開発と簡易鑑別法の開発,(2)簡易鑑別法の検証と再構築を研究し,報告した.