Medical Mycology Journal
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実験的マウス口腔カンジダ症モデルを用いた Candida dubliniensisCandida albicans の病原性の比較
吉岡 裕雄久和 彰江仲村 健二郎又賀 泉
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2012 年 53 巻 2 号 p. 135-145

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抄録

ある種のカンジダ属は日和見感染菌として知られており,特に Candida albicans は強い病原性を有して口腔カンジダ症の原因菌として検出される.近年,HIV 陽性患者や免疫不全患者から分離され,また健常者からも検出される新菌種 C. dubliniensis は,形態や分子生物学的性状が C. albicans と類似している.そこで C. dubliniensis の病原性を明らかにするために,菌体外酵素ホスホリパーゼ(PL)とプロテイナーゼ(PT)の活性測定,およびマウス口腔カンジダ症モデルを用いて病原性の検討を行った.
 NaCl を含まない卵黄平板培地で菌を増殖させてから NaCl を重層する改良 PL 活性測定法で調べた活性は,C. dubliniensis 31株すべてにおいて認められなかったが,PT 活性は C. albicans と同等であった. C. dubliniensis によるマウス口腔カンジダ症モデル作製においては,酵母形細胞接種では発症せず,菌糸形細胞接種により舌カンジダ症発症に成功した.また舌の病理組織学的所見では C. albicans と比べて差は認められなかった.C. dubliniensis の病原性として,菌糸形態でマウス口腔カンジダ症を初めて成立させることができたが,今回の実験においては菌体外酵素との関与の可能性を明白には証明できなかった.

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© 2012 日本医真菌学会
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