Medical Mycology Journal
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総説
2006年次皮膚真菌症疫学調査報告
清 佳浩
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2012 年 53 巻 3 号 p. 185-192

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抄録

日本医真菌学会疫学調査委員会による2006年度の皮膚真菌症の調査成績を報告した. 方法および調査項目は前3回 (1991 ・ 1992, 1996 ・ 1997, 2002) に準じ, 全国に分布した皮膚科外来16施設において調査用紙に従った検索を行い, 結果を集計した.
1. 全施設をあわせた年間の総患者数 (その年における新患数) は63029名であった.
2. 疾患別では皮膚糸状菌症が最も多く7,582例 (12.0%), 次いでカンジダ症, マラセチア症, その他の疾患群であった.
3. 皮膚糸状菌症の病型別では, 多い順に足白癬4,779例 (男2,358, 女2,241), 爪白癬2,582例 (男1,376, 女1,206), 体部白癬564例 (男341, 女223), 股部白癬309例 (男252, 女57), 手白癬145例 (男92, 女53), 頭部白癬 ・ ケルスス禿瘡17例 (男12, 女5) の順であった.
4. 足白癬, 爪白癬は夏季に, また人口比では主として高齢者に多くみられ, 特に爪白癬は前回調査より459名増加した.
5. 原因菌別では T.rubrum が白癬の主要菌種であることに変わりはない. T / M 比に関しては足白癬において1.95であった. その他の菌種では M.canis が8例とやや増加し, M.gypseumE.floccosum が少数であることは以前の報告と同様であった. 一方, T.tonsurans は37例と増加している. 頭部白癬においては M.canis が4例, T.tonsurans は5例, T.rubrum は2例であった.
6. 皮膚カンジダ症の総症例数は842例 (男305, 女537例) で, 男女の比率は全症例の平均で1 : 1.75であった. 間擦疹が最も多く298例, 次いで指間びらんが136例, 口腔カンジダ症が135例, 爪囲爪炎108例, 外陰部, オムツ部カンジダ症をあわせて88例の順であった.
7. マラセチア症は283例報告され, そのうちマラセチア毛包炎は108例であったが, その約6割が MTDC からの報告であった.

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© 2012 日本医真菌学会
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