抄録
Cryptococcus neoformans はエイズや悪性血液疾患などの易感染性宿主に重篤な脳髄膜炎を発症させるが, 発症メカニズムは明確になっていない. C. neoformans に対する感染防御の主体は Th1型の細胞性免疫であり, そのきっかけとなるパターン認識受容体による病原微生物の構成分子の認識が重要な役割を持っていると推測される. 筆者らはマウスの系で, クリプトコックスDNA が Toll 様受容体9依存的に免疫応答を誘導することを明らかにし, この誘導が既知のCpGモチーフを持つ細菌 DNA とは異なる様式で起こる可能性を示した. また, Cタイプレクチン受容体からのシグナルを伝えるアダプタータンパク質CARD9 を欠失したマウスでは免疫応答が低下し, C. neoformans に感受性になることから, C. neoformans に対する感染防御に何らかの Cタイプレクチンが関与することが示唆された. 本稿では C. neoformans 感染におけるパターン認識と感染防御反応について, 自験例を交えて概説する.