Medical Mycology Journal
Online ISSN : 2186-165X
Print ISSN : 2185-6486
ISSN-L : 2185-6486
原  著
手背部と左大腿部に急速に拡大する皮膚潰瘍を形成した続発性皮膚クリプトコックス症の1例
桑江 義介小川 祐美吉池 高志池田 玲子杉田 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 54 巻 3 号 p. 291-296

詳細
抄録
 症例は88歳,女性.慢性炎症性脱髄性多発神経炎のためプレドニゾロン15mg/日を内服中.2012年4月に肺炎の疑いで入院となり,胸部レントゲン・CT所見および血中クリプトコックス抗原高値により,肺クリプトコックス症と診断された.フルコナゾール200mg/日の点滴開始により,発熱などの全身状態は軽快したが,入院時より存在した左手背部・左大腿部の皮膚潰瘍が急速に拡大し,精査目的で皮膚科受診となった.左手背部に4×6cm大,左大腿部に2×3cm大の皮膚潰瘍を認め,皮膚生検,浸出液の直接鏡検・真菌培養の所見から皮膚クリプトコックス症と診断した.治療は,フルコナゾール200mg/日を7日間点滴投与後,イトラコナゾール200mg/日の内服に変更した.しかし,1週間ほどで肝障害が出現したため,フルコナゾール200mg/日内服に変更し,潰瘍は2ヵ月目には縮小傾向を示した.高齢者や基礎疾患による副腎皮質ステロイド薬・免疫抑制薬使用者で皮膚潰瘍を伴う場合には,鑑別疾患として皮膚クリプトコックス症などの深在性皮膚真菌症を念頭に置いておく必要がある.
著者関連情報
© 2013 日本医真菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top