Medical Mycology Journal
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原著
口腔および胃内カンジダ感染モデルマウスにおけるLactobacillus pentosus S-PT84株加熱死菌体の感染防御効果
羽山 和美石島 早苗小野 佳子出雲 貴幸井田 正幸柴田 浩志安部 茂
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2014 年 55 巻 3 号 p. J123-J129

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抄録

 Lactobacillus pentosus S-PT84加熱死菌体(以下,S-PT84死菌細胞)の,カンジダ増殖に対する影響をin vitroおよびin vivoで検討した.C. albicansに各濃度のS-PT84死菌細胞を添加し培養したところ,S-PT84死菌細胞は2 mg/mlの添加濃度でC. albicansの菌糸形発育を著しく阻害し,残存した菌糸にはS-PT84死菌細胞と思われる粒形が付着している像が観察された.次に,本菌の口腔および胃内C. albicans感染モデルマウスにおける感染防御効果を検討した.その結果,S-PT84死菌細胞は2 mg × 3 回の口腔内投与で口腔カンジダ感染モデルマウスの舌症状を有意に改善し,口腔カンジダ症の治療に有効性を発揮する可能性を示した.さらに,C. albicansの胃内増殖に対する効果として,少なくともS-PT84死菌細胞を 0.5 mg口腔内+ 2 mg胃内× 3 回投与することで,胃内C. albicans生菌数が有意に低下することが明らかとなった.
 S-PT84死菌細胞はすでに機能性食品素材として使用されていることから,粘膜カンジダ症,特に消化管カンジダ症に対する補完代替医療として使用できる可能性が示唆された.

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© 2014 日本医真菌学会
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