Medical Mycology Journal
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総説
食品の機能性を利用した口腔衛生改善の取組み
~スパイス,ハーブによる口腔衛生の改善~
田口 裕基
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2014 年 55 巻 4 号 p. J143-J149

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抄録

 スパイス(spice),ハーブ(herb)と呼称される植物性素材を用いて,食生活の中で安全,簡便,かつ経済的に口腔衛生の改善を図るため,それらの有効な利用方法,あるいは商品を開発すべく検討を行った.具体的には,口腔,消化管で増殖し,口腔衛生状態を悪化させる Candida albicans の増殖を抑制する食品の開発を目指した.C. albicans は高齢者を中心に,口腔内で増殖し,その菌糸系発育は口腔カンジダ症を発症させる.われわれは複数のスパイス,ハーブに Candida albicans の菌糸形発育阻害活性があり,カシア( Cinnamomum cassia )など口腔カンジダ症マウスモデルにおいても顕著な改善効果を示すものがあることを明らかにした.一方で,生体内で有効性を発揮させるためには,スパイスやハーブ中の成分が一定時間 Candida 菌体と接触することが必要であること,そしてメチルセルロースとの併用によって生体内において接触時間を伸長させることができることを示した.これらの知見を中心に,スパイスやハーブを用いることで,どのようにして食生活の中で口腔衛生の改善を図ることができるのか検討を行ったので,その一部について紹介する.

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© 2014 日本医真菌学会
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