抄録
宮崎県の焼酎造りは、南北に長い地理的環境のもと、芋を中心に多様な原料を用いながら発展し、現在は県内三十七の焼酎蔵によって継承されている。焼酎は宮崎県を代表する特産品として全国的な評価を確立しており、その背景には制度や社会状況の変化に対応しつつ製造現場で工夫を重ねてきた造り手たちの歩みがある。筆者はこれまで、昭和期に焼酎造りに従事した造り手への聞き取り調査を通じて、少人数体制による製造や日常的な工夫、制度との関係性などを明らかにしてきた。本稿では、新たに実施した聞き取り調査の成果をもとに、昭和期の宮崎における焼酎造りを制度・技術・流通・担い手の視点から捉え直し、その実態と変化の様相を明らかにする。