理学療法の歩み
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症例報告
通所リハビリテーションにおける動作の安定性改善を狙った日常生活動作指導の効果
武智 裕子佐藤 美紀
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2008 年 19 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

当施設の通所リハビリテーションは,維持期の高齢者が多く,疼痛に対する物理療法を始めとする対症療法などの治療内容では,現状維持にも限界があった。平成17年度より筋力強化を積極的に実施したが,パフォーマンスに変化はなかった。今回,利用者14名に対して,治療場面に限らず,運動課題や環境による違いをみるなど動作分析をより細かくすることで動作の傾向性を探り,各動作に介入することで,改善が認められた。中でも,特に変化の大きかった症例を報告する。2症例の共通点は①動作分析を行い,無自覚だった動作の傾向性に介入して運動パターン指導を徹底し,安定性改善を狙ったこと,②筋出力のタイミングを動作に結びつけた簡便かつ安全な内容で指導・練習したことの2点である。3ヶ月で,立ち上がり動作の自立,FIMの改善,バランスの改善,歩行速度の改善などのパフォーマンスの向上が得られた。発症後維持期であっても,患者の可能性を最大限に引き出せることが示唆され,施設全体の取り組みにも変化を与えられた。

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© 2008 宮城県理学療法士会
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