2025 年 36 巻 1 号 p. 58-61
【目的】人工股関節全置換術(以下,THA)後の自覚的脚長差(以下,PLLD)に対する矢状面上の腰椎骨盤運動の有用性ついて症例考察から仮説を生成する。【症例紹介】症例は末期左変形性股関節症にて,左THA を施行した60代女性である。術後3日目に股関節内転可動域制限と疼痛とともに,著明なPLLD を認めたために,通常理学療法に加え,体幹側屈運動中心に介入を実施した。術後8日目には,疼痛,股関節内転可動域制限は改善したものの,術側への骨盤側方傾斜,座位における腰椎後弯と骨盤後傾の可動域制限,そしてPLLD は残存したままであった。【経過】術後9日目より,通常理学療法に加え,矢状面上の体幹屈伸運動を開始した。術後14日目には骨盤側方傾斜の改善,座位における腰椎後弯と骨盤後傾の可動性拡大,そして,PLLD の改善が得られた。【結論】矢状面上の腰椎骨盤運動はPLLD を有するTHA 後の患者への対応として有用となる可能性がある。