2025 年 36 巻 1 号 p. 51-57
回復期リハビリテーションにおける脳梗塞症例に対し,Hybrid Assistive Limb (HAL®-SJ)を用いた自動介助運動が筋力発揮特性に与える影響について検討した。症例は脳梗塞による重度左片麻痺と診断された72 歳の男性。本研究はAB 型シングルケースデザインを採用し,A期は理学療法士による自動介助運動,B期はHAL®-SJ を用いた自動介助運動(麻痺側の膝伸展運動)を各期10日間ずつ実施した。膝伸展角速度とSIAS-motor は,A期で改善傾向が観察されなかったが,B期で改善傾向が観察された。しかし,麻痺側の膝伸展筋力およびMotor-FIM はA期B期を通して改善傾向が観察されなかった。HAL®-SJ を用いた自動介助運動は,重度の運動麻痺に対する筋動特性の改善に有効である可能性が示唆された。