抄録
宮崎県立看護大学看護学部助産師課程を選択した卒業生 135 人を対象に,卒業生の動向を把握し,今後のキャリア支援に関する示唆を得ることを目的に質問紙調査を行った。有効回答数は 112 人 (83.0%) であった。卒業生の91人(81.3%)は就業していた。職種は,助産師77人(84.6%),保健師7人(7.7%),看護師7人(7.7%)であった。就業先は,病院・診療所の産科外来・病棟が 67 人 (73.6%) と最も多く,助産所は 5 人 (5.5%) であった。助産師経験年数 6 年以上は 6 年未満と比べ,三次周産期医療機関での就業割合が低く,診療所の産科外来・病棟での就業割合が高くどちらも有意差がみられた。卒業生の 68 人 (60.7%) に退職経験があった。助産師経験年数 6 年未満と 6 年以上では退職経験の有無に有意差はみられなかったが,助産師経験年数 6 年以上に退職経験 3 回以上が多く見られた。退職理由では,進学や看護職としてのキャリアアップが 25 人 (36.8%) と最も多かった。卒業生の 97 人 (86.6%) は,助産ケアに活かせる資格や学位を取得しており,その中でも「新生児蘇生法 (NCPR)A コース」の 81 人 (72.3%) が最も多かった。妊産褥婦に関わる中での関心事では,25 のカテゴリが得られた。その内の 12 カテゴリ【妊産褥婦のメンタルヘルス】【子育て支援】【助産師の働き方・自律】【母乳育児】【対象が主体となれる支援】【社会的ハイリスク妊産婦への支援】【コロナ禍での支援】【切れ目ない継続した支援】【身体不具合のケア】【グリーフケア】【性教育】【ハイリスク分娩】は,助産師経験年数 6 年未満と 6 年以上で共通していた。今後のキャリア支援として,職業継続の一助となれるよう助産師自身のメンタルヘルスをテーマとした研修会の開催や交流の場作りの必要性が示唆された。