抄録
伊豆半島における1931-1973~75年間の地殻水平変動と1931-1978年間の地震発生について、それぞれの特徴と相互の関係を調べ、伊豆半島周辺域のテクトニクスとの関連について考察した。その際、地震発生に伴う地殻の変形を別に議論し、それを基に検討した。
上記の期間における伊豆半島内の地殻の変形は、せん断歪みの蓄積ということで特徴づけられる。その大きさは、地震多発地帯では地震の結果生じたと計算される歪み量と一致するが、伊豆半島全体としては地震発生による寄与は小さい。
伊豆半島内におけるせん断歪みの蓄積は、駿河湾をはさんで半島の南側ほど大きな西方への変位があったということで説明される。
三角測量によって測られる水平歪みは、現在そこに蓄えられている弾性的歪みだけでなく、地震発生の結果生じた歪みや、非弾性的な歪みも含んだものである。これらのいろいろな地殻の変形がどのように関係しあっているのかという点についても論じた。