Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
三宅島空港周辺の地形性乱気流の研究
藤谷 徳之助花房 龍男西山 宏
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1981 年 32 巻 1 号 p. 37-49

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抄録

 空港周辺の局地的な地形によって生じる地形性乱気流は、これが航空機にとって最も影響の受けやすい離着陸時に作用するという点、又、国内空港の多くが、地形性乱気流の発生しやすい複雑な地形の場所に建設されているという点から、航空機の安全運航に最も大きな影響を及ぼしている。この地形性乱気流の性質を明らかにするために、冬期季節風時に孤峰の風下側に位置する、伊豆諸島の三宅島空港を選んで、地上及び航空機観測を実施した。その結果、地形性乱気流は山の高さの半分以下の部分で卓越しており、風下側に減衰しながら拡がっているが、上方にも及んでいることが明らかとなった。又、航空機の鉛直加速度の標準偏差から推定した乱れの粘性消散率の値は、下層では森林上で得られた値に、又、上層では平坦地上で得られた値と同程度であることが判った。さらにこれらの値を用いて、運動量輸送量や渦粘性係数の鉛直分布についても推定がなされた。

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© 1981 気象庁気象研究所
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