Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
原著論文
200m気象観測鉄塔で測定された強風の性質
花房 龍男藤谷 徳之助
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 32 巻 1 号 p. 19-35

詳細
抄録

 本論文は、高さ200mの気象観測鉄塔の6高度 (200m, 150m, 100m, 50m, 25mおよび10m) に設置されている超音波風速計を使って、強風時の風速の3成分の測定を行い、解析した結果について述べたものである。
 高さ200mまでの風速の鉛直分布はほぼ0.3のべき法則で近似でき、摩擦速度は50mの高さまでほぼ一定で、それ以上の高度では高さの-0.3乗に比例して減少していく傾向がみられた。この傾向は風速の標準偏差の高度分布にも認められた。
 σu/u*, σw/u*の値は200mの層全体にわたってほぼ一定で、それぞれ2.30および1.52となった。
 自己相関関数から求められた風の水平成分および鉛直成分のintegral scaleの高さにはそれぞれZ0.6Z0.4に比例することが示された。
 ガストファクター、(G) は規格化された解析時間 (s/D) (s: averaging time, D: sampling duration) を使って次のように示されることが実験的に確かめられた。

G∝(s/D)-p, P=0.09(Z/Z10)-0.36
 スペクトルのピークから決定される規格されたピークの周波数の高度変化はZ0.5に比例し、スペクトルスケールは10m高度を除いてZ0.6に比例することがわかった。
 一方、鉛直成分のスペクトルケールの高さに対する比は50m以下の層では2-4の間に存在するが、高さが高くなるにつれて、その値は減少する傾向がみられた。
 εの高度分布は50m以下ではZ-1にそれ以上の高度ではZ-2に比例して減少することが実験的に示された。

著者関連情報
© 1981 気象庁気象研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top